必要条件・十分条件を覚える簡単なコツ【医学生が解説】

hiyoko

国立医学部に現役合格。医学生の日常や合格までの勉強法、その他関連お役立ち情報をお届けします。受験生時代は東進衛星予備校・東進東大特進(5教科特待)・Z会

※アフィリエイト広告を利用しています。
※アフィリエイト広告を利用しています。

数学Ⅰで登場する必要条件・十分条件ですが、とっつきにくい概念で、しかもその後の高校数学では出てこない(ようにみえてしまう)ため、あいまいな理解で終わる人が多い分野です。どういう場合に必要条件・十分条件なのか覚えるため、「矢印の向きで覚えろ」とか、ついには語呂合わせで指導するなんてことも…。それでは全く理解していないのと同じ結局は本質を理解するのが最も手っ取り早いです。今回は、医学部現役合格したぼくが、必要条件・十分条件の本質を解説し、暗記するまでもなく覚えていただきたいと思います(厳密な定義よりも感覚の掴みやすさ優先しています)。ぼくは「日本語で「ならば」とか「必要」と考えると分かりにくいから、日本語で考えるな」と指導されましたが、どう考えても、日本の数学者たちが考えた日本語はしっくりくるので、そのまま日本語で考えるべきです。

そもそも「条件」とは

教科書では「条件」という言葉の導入すら曖昧です…。分かりやすいのは教科書に出てくるベン図でしょう。実数全体という広い世界の中から、ある部分を楕円とか四角で でくくりだしている図をみたことがあるはずです。その円こそが条件です。「xは整数」という条件なら、楕円の中には「3」「-100」などの整数となるものが入り、外には整数以外の実数があることになります。教科書に書いている、「変数を含む文や式で、その変数に値を代入したときに真偽が決まるものを条件という」の、真偽が決まるとはこのことで、この例の場合はx=5は楕円の中に入る(整数)ので真、x=0.7は入らないので偽であると決まります。
広い世界の中から、一定の条件を満たす奴(数)だけ連れてきたいときに設ける条件のことを、数学では「条件」と呼ぶのです。日本語そのままでしょ?

必要と十分は何に使う?

条件とは、ベン図のあの楕円のことなのでした。条件は作ろうと思えばいくらでも作ることができると分かるはずです。「x=3かつy=1」「x=3」「xは負の数」…など、どれも条件です。そしてこの条件同士の関係をみるのが「必要・十分」なのです。
条件同士の関係をみる…。この際も、ベン図が分かりやすいです。
2つの条件の関係をみるとき、楕円は2つあります。この2楕円は一部が被る時もあれば、全くかすりもしないときも、あるいは一方がもう一方の内部に完全に入ってしまうとき、2楕円が完全一致するときもあります。そして、「必要・十分」が注目するのは、この「一方がもう一方の内部に完全に入ってしまうとき」のみです。一方の条件がもう一方に含まれるという、数学的に大きな事件が起こっているから、「必要・十分」に注目するのです。

「ならば」は日本語と対応している

ここで、「ならば」という言葉が登場します。この言葉に混乱してしまう人が多いのですが、こちらも普段使っている日本語と対応しているので、ひとつ例を使います。

【例】問.1月生まれの男性全員を探せ。

1月生まれの男性全員(数学の問題でいう「解」にあたる)を探してくる場合、片っ端から、「あなた1月生まれの男性ですか?」と全ての人間に確かめていくのは大変です。そこで、条件で絞り込んで探すのが自然でしょう。例えば、とりあえず1月生まれの人を集めてきてから、その中から男性だけ分けるという方法があります。これをベン図で整理してみましょう。

この時、「1月生まれの男性」という条件は、「1月生まれ」という条件に内包されていることが分かります。これは完全に内包されています。たった1人の例外もなく、1月生まれの男性は1月生まれなのです。これを「1月生まれの男性ならば1月生まれ」と表現します。ごく自然でしょう?

これを矢印を使って表現する方法があって、1月生まれの男性の集団をp、1月生まれの集団をqとすると、p⇒q(pならばq)と書けます。pならばqなんです。1月生まれの男性ならば1月生まれなんです。逆はどうでしょうか。1月生まれならば1月生まれの男性(q⇒p)といえるでしょうか。これは偽です。1月生まれでも、男性ではない人がいます(これを反例という)。qはpに内包されていませんからね。

「必要」と「十分」も日本語と対応している

条件の関係性を調べる「ならば」の意味が分かったところで、いよいよ必要・十分の解説に入っていきます。これも完全に、普段使っている日本語の意味そのままに対応しています。また、先ほどの例を使います。

【例】問.1月生まれの男性全員を探せ。

この問では、とりあえず1月生まれの人で絞り込んで、その中から男性を探しせば答えにたどり着きそうなのでした。このとき、1月生まれの男性という条件(p)と、1月生まれという条件(q)の関係は、pがqに内包される、数学的に言えば「p⇒qが真」という関係です。このとき、「pはqの十分条件である」「qはpの必要条件である」といいます。
日本語で、「pはqの十分条件である」について考えてみましょう。1月生まれの男性(p)であれば、1月生まれ(q)であるためには、十分なはずです。1月生まれの男性なのに、1月生まれではないという人は一人もいませんよね。だから、qに対してpは十分条件です。
同様に「qはpの必要条件である」についても考えてみましょう。1月生まれの男性(p)であるためには、1月生まれ(q)であることが必要なはずです。これが、必要・十分の意味です。条件をいくつも設けて絞り込んでいっていて、その条件同士の関係を表現したのが必要・十分です。普通に日本語で理解できることを分かっていただけたでしょうか。これを一部の学校や塾では、「矢印を書いて左が右の十分条件で、必要条件はその反対だ」なんて覚えさせるだけで終わっているのです。入試の作問者はそこを狙ってきます。

まとめ

今回は、「条件」の説明から始まって、ならば、必要・十分まで解説しました。ぜひ、テスト本番で役に立たなくなるような丸覚えではなく、本当の意味、本質を理解してください。